Metascan写真画像測量モードの利用-2 using Apple’s photogrammetry, object capture, by iPhone app. Metascan-2
はじめに
このページは,Metascan写真画像測量モードの利用-1 から続くものである。
本日Feb. 26, 2022,ヴィソラでメタスキャンの写真モードの使用法についてチェックして,およそ,理解した。その内容をここに記す。
1 Metascan Proへのアップグレード
ヴィソラのカスケードでの撮影枚数が50枚を超えたので,プロモード(有料モード)が必要になった。その際の表示が図1である。ここでは,ぼくは Pro Monthly (780円/月)を選んだ。実はこれまで一週間のトライアルをして,Metascanを実行してきた。Wed, Feb. 16に開始したので,Tue, Feb. 22の夜に終了すると考えた。実際に離脱したのはFeb. 23の午前3時前であった。メタスキャンから何の連絡もなかった。放置していたら,自動的に1年契約になるところであった。図2が図1に続く表示である。
図3は撮影後のLibrary表示である。撮影完了後,アップロードせずに放置すると,Libraryでは,DRAFT表示される。写真が表示されているのでDRAFTの中味は理解できる。再訪が簡単な場合は,Wi-Fi環境が整った場でMetascanのサーバーにアクセスし,その後iPhoneで計算過程を実施した方が早い。
2 ヴィソラの千里川右岸カスケード付近
次の図4はカスケード付近の写真である。
図5に見られる幾つかの階段に歪みは見られない。対岸から撮影したことが功を奏している。対象からは10メートルほどは離れた方がいいことがわかる。
図6では手前に右岸部分も表示されていて見にくいが,図奥手の左岸に注目してほしい。左手が上流側である。左手のコンクリート面には雲が懸かったように見えるが,これは子ども一人がウロウロしていたためであった。それゆえに複数の写真の合成ができなかったようである。右手のオレンジ色は太陽光が当たっていたところで,撮影時に太陽光の強弱があって,そのことがこのような結果を招いたようである。今回は,下流側の大橋のうち一段低いところから撮影した。その際には太陽は当たっていなかったと思われる。
図7でも,右手つまり左岸側の解像度が低くなっている。
図8は図5の左手の階段付近の撮影時の様子である。この写真も写真画像幾何学に使用されているが幸い,人や犬は写っていない。後の大橋からの写真が優先されたものかどうか。日差しも入っていて,かなり撮影環境は悪い。本日の写真はすべて,ランドスケープ(横広)で撮影した。
このヴィソラカスケード付近の撮影は,意識して,離れた場所から撮影し,視軸の平行性を意識した。右岸と左岸の繋ぎ写真は,大橋から別途撮影したものであろう。千里川の水路で重なっている部分もあり,これも貢献しているかも知れない。視軸方向をiPhone 12 Proがコンパスを使って計算しているのかどうか,わからない。
3 ヴィソラ東端の商店と集合住宅
一つの建物を全周で撮影したいと考えたがそのような撮影対象には出会えなかった。紳士服のあおやまと隣接する集合住宅を撮影した。
segmentのページ CloudCompareで不要なポイント群または面群の削除 では,☑️cofirmの意味がわからなかった。マニュアルでは,”validate the current segmentation and create two clouds: one with the selected points and one with the others”となっている。図9の左ペーンのDB Treeのmetascan 20220226-1605のMesh構造を見ると,Mesh 0.partにチェックを入れていて,この編集画面の集合住宅だけが表示されている。Mesh 0.remainingにはチェックを入れていない。これを入れると削除したcloudが現れる。ぼくがMesh 0.partをMesh 0.remainingと同階層に置いた結果である。confirmを実行すると,元々はMesh 0.remainingの一つ下の階層に作られるのである。上記英語の説明では理解できない。
この集合住宅の南側には建物が迫っていて撮影できない。次の図10には北面と,西日が当たる西面を示している。図11では北面と東面を示す。
図10と図11での日の当たらない北面と東面は肌理が粗いが,これはWindowsの液晶表示の特性を示しているようである。マウスで押し込むと汚れた肌理は無くなる。この集合住宅撮影結果については,図9のように,建物角の直角が認識されていて,ぼくとしては感心した次第である。
この集合住宅の撮影は,この直方体の面に対して視軸を垂直とはせず,むしろ対角線方向から撮影した。つまり,西面に対しては,北西から南東方向へ,東面に対しては,北東から南西方向へ。北面は結果として,その両軸から撮影される。東面の南端にもベランダが少し見えるので,この付近では東から西方向へ撮影した。基本的には一つの視軸方向で,二面を撮影するという発想であった。
もう一つは,この集合住宅と道路を挟んで立地する青山であった。図12は,あおやまの元図で,とりとめもない。
図13は最もよく捉えている像なのであるが,惨憺たるものである。店の前に駐車されている車などがこういうノイズを作る。
図14で,上段右端のごちゃごちゃは,フロアの複雑性にもかかわらず写真間隔が短すぎた故であろう。下段左手のごちゃごちゃは車が駐車されていたのであるが,それを表現するほど撮影間隔を縮めなかったためである。撮りたいものだけに注目して写真間隔を取っても,手前の邪魔なものをも表現すべく撮影間隔を縮めなければ,撮りたいものを表現できないということである。
4 花咲か公園の花壇
図15には,ヴィソラの北隣の花咲か公園のボランティア市民用の花壇が見える。不定形である。千里川右岸に位置する。
本日の最初の撮影(15:44)であった。日差しは結構強かった。対角方向を意識して撮影したが,図16のように結果はひどかった。この図の下方は南向,左手は西向き。この両面は正確に表示されたが,他の二面は崩れていた。影になっているので,壁という認識ができなかったのでは無いだろうか。撮影法が特に悪かったという印象はない。
図17は,花壇部分を残した上からの像である。花壇枠が正確に表現されている。図18は同じcloudのパースである。花壇枠は正確に再現されている。撮影方法は,図16の時と同様である。
次の撮影は,今回最も成功したものである。敢えて,花壇に向かって撮影を重ねて一周した。視軸を平行にするという意識を断ち切った撮影であった。図19はsegment実行前の元図である。このような整ったcloudはぼくには初めてであった。図20, 図21は,segment実行後のパースである。
まとめ
以上の体験から次のことが言えそうである。
1 視軸を平行にする撮影は不要。
2 対象に向かって70%重ねるように撮影すれば良い。
3 対象の大きさによるが,接近する撮影は良くない。
4 太陽光はかなり大きな影響がある。基本的には一つの撮影対象に大きな明度の差があると,失敗する。
5 動くものが入っていると像を結ぶことができない。
6 撮影対象の手前に障害物がある場合,その障害物も像を結ぶように,撮影間隔を縮める必要がある。
以上,Feb. 26, 2022記。
おわりに
一晩たって,上記のまとめが,アパラントなものと感じている。70%重ねるという考えは,圧倒的に広域かつ遠方からの撮影に適用できる。デコボコが5mのものであれば,×20で距離100mから撮影すれば良い。直径10メートル程度の対象であれば,全域をカバーするように回転して撮影すれば良いという体験を上で示したが,これは要するに,対象の凹凸に対して,余裕ある視差差を確保するということである。この回転撮影のコマ間の対象の中心からの回転角や対象の中心から伸びる外延との距離は,視差差の正しい評価の上に求められるのであり,これについては実験する方が簡単であるが,幾何学的に証明できると思う。
以上,Feb. 27, 2022記。
ネット上にiPhoneを使った写真モードのロジックを探したが英語圏でも見当たらなかった。公開されていないようで,ぼくが考えても詮無いことなので,これに関する好奇心は捨てることにする。ここで述べてきた写真モードでの成功例metascan-1726を見ていて,花壇の様子がはっきりしない。これは,花壇を写すような高い位置からの撮影過程が無かったからである。この過程も組み込む手順を考えるべく,再挑戦しようと思っている。
そして,その発展形は次のページにある。 Metascanの出力からテキストファイルを得る
次は,フィールドワークで必要な座標系の平行移動と回転の過程をまとめたいと思う。
それが次のページにある。 座標系の平行移動と回転
以上,Feb. 27, 2022記。
追編集 Apr. 4, 2022: てにをは,のみ修復。