ぼくの花 my blossom

はじめに

 ぼくの書斎の窓のそばの花木は今,満開だ。集合住宅メゾネット棟間の谷筋には,ソメイヨシノの大木数本の下生え的な位置付けなのか,朝日が最大2時間しか当たらないこの花木はほぼ成長していないように見える。

 薄いピンクの花は桜のようにも見える。咲く時期からすると梅なのであるが,桜の一種ではないかと数十年考えてきた。

 花を採取することを躊躇ってきたが,手を合わせて,タニハからの帰にこの谷間に入って一つ頂戴してきて,解剖?した。写真を撮影しても肉薄できなくて,実際の花を触ってみて,やっと,梅と断定した。以下,いくつかの写真を。

1. 花が咲いた

 図1,2に見える2本のより太い幹を持つ木はソメイヨシノである。この集合住宅の造成の際に同時に植栽されたものであるが,ぼくの花木は極めて華奢な姿を見せてきた。2025年3月13日に撮影した。この数日前から咲き始めていた。

図1 書斎のベランダに向かって
ベランダから

 図3,4は花のズームイン映像である。花と枝の間にはチェリーのような長い柄が見られない。図3に見えるように,雄シベは長く本数も多い。雌シベも花の中央に見えている。図4は開ききっていないもので花びらで丸く囲まれて,ガクも透き通って見えている。ツボミはピンク色で限りなく幼くて美しい。

図3 花と蕾と
図4 萼が透きとって

ScaniverseのSplat法で樹幹を撮影した 30MB

2. 満開

 満開はさびしい。残りのツボミはわずかだ。開花日から10日である。iPhoneの虫眼鏡ツールを使って,開ききった花を図5,6に。図5では,花脈がはっきりと見えている。ガクの形が梅の花の様式を生み出したようである。図6では雌シベが区別できる。

 花びらだけを剥がしてみるとお椀のような擬似半球になっている。桜の花ビラのようには平たくない。桜よりもより暖かい印象である。花びらの先には亀裂はない。

図5 裏から
図6 表を

 図7は2025年3月20日夜の姿,図8は2025年3月21日の紅梅。

図7 2025年3月20日夜のうめさま
図8 2025年3月21日の紅梅

 図7,8の姿は類似している。樹齢は同程度かもしれない。30年余。図7はアイフォーンのカメラで比較的近接して撮影した写真の一部であり,図8はアイフォーンの虫眼鏡ツールで撮影し共有操作でmacにアップロードしたものの全映像である。

 虫眼鏡ツールでは撮影してもアイフォーンには記録されない。共有を選んでメモ帳やmacなどにアップロードしないと保存されないのである。さらに虫眼鏡で撮影した際に見える画像域は狭くてもより広範な範囲が実は撮影されている。そのため,範囲を絞るには撮影したい範囲より狭い範囲が表示されるように撮影すれば求める写真を得ることができる。虫眼鏡ツールは近接像を見ることができるので,アイフォーンの写真アプリよりもよりシャープな映像を得ることができる。

図9 紅梅近接写真の一部
図10 紅梅を虫眼鏡ツールで撮影

おわりに

 数十年の懸案が一つ片付いた。

以上,2025年3月21日。

追記 2025年3月21日:河津桜

 散歩で千里川沿いの河津桜の七分咲きに出会った。

図11 千里川沿いの河津桜 (サクラ属の園芸種 Cerasus ×kanzakura ‘Kawazu-zakura’)
 後ろの高い針葉樹はセンペルセコイアSequoia sempervirens (Lamb.) Endl.
図12 ズームイン
図13 虫眼鏡撮影の一部

 雌シベが写真ではみつからない。中心の低い位置にあるのではないか。花びらの先端中央は二裂している。花びらが平板的かどうか,抜き出して確かめなかった。

以上,2025年3月21日。

 帰路,河津桜に寄って,花一輪を失敬した。花びらは梅のようにお椀のように半球状ではなく,ほぼ平面に近いが多少弓形になっている。花びらの先は浅く2裂。図15のように,雌シベ(赤半円)は雄シベの葯で作られる平面よりも低い位置にある。この雌シベの頭には花粉がついている。ガクは梅のように丸くならずヒトデのようだ。

図14 花弁と,ガク弁+雄シベ+雌シベ
図15 シベとガクと

以上,2025年3月21日。