アップルLiDAR測量Part 3 キンドル版作成記録 records of kindle publishing Apple’s LiDAR measurements Part 3

はじめに

 macでもKindle版投稿が可能になったようだ。これまでKindle版作成にはmacのMicrosoft Wordでは完結できず,最後はウィンドウズマシーンのMicrosoft Word 2016 for Windowsを利用してきた。

 mac版Microsoft Wordの対応状況をPerplexityで確認すると,「Microsoft Word for Mac は、バージョン 16.72(Build 23040200)以降で「Kindle に送信(Send to Kindle)」機能に正式対応しています,とあった。ぼくのマックのMicrosoft Wordは,バージョン16.98 (Build 25060824)であり,全く問題がないことが判明したのである。

 アップルLiDAR測量Parts 1&2 キンドル版作成記録 では涙ぐましいほどの試行錯誤をしているが,もうその必要性はないようだ。簡潔な手法を探求?して,ここで示したいと思う。

 この春(2025年3月),「フィールド科学のためのアップルLiDAR測量 Part 3: ROIを平面直角座標系に載せる」が発行された。ここに示したリンクからダウンロードできる。これは出版の制限から画像はすべて白黒になっている。また,ケアレスミスが生じている。正しくは「Region of Interest」なのに,ボケボケで,「District of Interest」 にしてしまっているのである。正しくは「Region of Interest」なのに,ボケボケで,「District of Interest」 にしてしまっているのである。 

——— ケアレスミス〜

X.1 DOI(ROI)を含むルート設定,で,本文中のDOIはすべて,ROIに修正する必要がある。図50のタイトル中のDOIもROIである。X.4 ROIの二次的基準点を求める,で,第2段落中のDOIをROIに。

ケアレスミス〜おわり ———

 この号でこの報告は完了である。「フィールド科学のためのアップルLiDAR測量」で検索いただくと,アマゾンのサイトの Parts 1とPart 2がヒットします。

 以下,Kindle版発行までの,いまの流れをここに示したいと思います。

1. mac版Microsoft Wordで投稿原稿をKindle版に

 前述のように,論文投稿原稿は手元にある。投稿論文にはそれなりの書式にこだわり(投稿規定など)があり,そのままではKindle版にならない。Part 3では,Kindle版に向けてのこだわりが反映している。Parts 1 & 2では図表を本文中に配置していたのだが,Kindle版に向けて,図表を最後に配置した。まあ,投稿者にとってこの形が楽なので,この形を選択するだろうが,ぼくはKindle版に対応するように,図表の書式やタイトル(キャプション)もMicrosoft Wordの書式に合わせていた。

 アップルLiDAR測量Parts 1&2 キンドル版作成記録 での作業内容をそのまま再掲せず,引用するかたちにしたいと思う。手順を次に。

a. 論文タイトルと著者名

 Kindle版では,「論文タイトルと著者名」は前付けに属するのでい,セクション区切り(次のページから開始)を介して残す。

 出版社への「図挿入位置」メモなどは,全部検索して手作業で削除する必要がある。

b. ヘッダー,フッター,ページ番号の削除

 リボンの挿入タブで,まずはヘッター,フッターを削除する。ページ番号の削除については,経験的に言って,単純ではない。ページ番号の奇数の方をアクティブにして,「ページ番号の削除」,次に残りの偶数の方をアクティブにして,「ページ番号の削除」である。

c. 見出しの取り扱い

 文学論集のために工夫して書式を考え,Microsoft Wordのホームタブに各種書式を設定している。Windows版Microsoft Wordには,キンドル用に用意した書式が残っているが,mac版Microsoft Wordにはない。mac版でも文学論集用の書式をキンドル用に替える必要があると少し前まで考えていた。

 どうもその必要性がないのではないか。kindle direct publishingのeBook Manuscript Formatting Guide を覗いてみた。日本語版としては,電子書籍の原稿の書式設定ガイド が比較的英語版に近い。章タイトルを中央に配置するぐらいのことである。リフロー型のKindle本では読者の設定が優先されるのでフォントは気にすることはない。ただ,ボールド(ゴシック体)は生きるので,節名などに適用したい。ホームタブで,スタイルウィンドウを選択して,スタイルガイド表示にチェックを入れて,本文の書式をチェックする必要性はある。

d. 地の文の書式

 見出し以外の本文のKindle版の書式があったはずだ。ぼくのサイトから探すのが面倒でPerplexityさんに聞いたのが次。ぼくは以前作成した,スタイル「標準,キンドル新」を使用している。

Kindle版電子書籍の「地の文」書式設定(Microsoft Word)

 地の文(本文テキスト)は、読者端末上でリフロー可能な特性を前提に、Wordの「標準」スタイルを以下のように設定することが必須です。

書式項目推奨設定理由・詳細
フォント種類・サイズ任意(例:游ゴシック/MS 明朝 10~12pt)リフロー型のため端末側フォントに置き換えられる[1]。
段落先頭インデント「段落」→「最初の行」→「字下げ」→「1 字」タブではなく段落設定による字下げのみを用いる
行間単一行間隔(1 行)端末による行間調整に干渉させないため
段落前後の間隔前後とも「0 行」不要な余白が自動的に追加されるのを防ぐ
文字揃え左揃え日本語横書き本文は左揃えが基本。
スタイル適用方法「ホーム」→「標準」スタイル右クリック→「変更」→「書式」→「段落」一度設定すれば全本文に自動適用され、書式一貫性を担保[2]。
強制改行(Shift+Enter)使用しないリフロー時に意図せぬ改行が残るため。
手動改ページ章冒頭時のみ「挿入」→「ページ区切り」各章開始の安定したページ送りを実現。
ページ番号/ヘッダー・フッター設定しないリフロー型電子書籍には不要で反映されない。

設定手順

  1. Word上部メニューの[ホーム]タブ → [スタイル]ペインで「標準」を右クリック → [変更]を選択。
  2. ダイアログ最下部の[書式]→[段落]をクリック。
  3. 「インデントと行間隔」欄で以下を指定し[OK]:
  • 最初の行: 字下げ/1 字
  • 行間: 1 行
  • 段落前後: 0 行
  1. フォントやフォントサイズを適宜設定し、[OK]で保存。

これにより、KDPにアップロードした際の地の文書式が要件を満たしつつ、読者端末での最適な可読性を確保できます。

 「論集地の文」の代わりに,手作業で「標準,キンドル新」にすべて替える必要がある。

e. 前付け・後付けを追加

前付けの作成手順

1. 基本的な前付構成

電子書籍の前付には以下の項目を含めることが推奨されている。

  • タイトルページ(必須)
  • 献辞ページ(任意)
  • 著作権ページ(推奨)
  • 目次(推奨):だそうだ。これには驚いた。
  • まえがき(任意):報告であれば本文に書けばよい。
2. 前付けの作成手順
セクション区切り(次のページから開始)を目次と本文の間に挿入

 一般的な方法ではないかもしれないが,この手順が適当だと思う。Microsoft Wordでは,アウトラインプロセッサー機能を使って,本文を作成してゆく。あとで見出しを階層づけるというのはありえない。目次作成も早い段階で実行しており,更新は繰り返し実施する。

タイトルページの作成
  1. 本のタイトルを入力し、「ホーム」タブ → スタイル → 「表題」を適用
  2. 「表題」スタイルを右クリック → 「変更」で中央揃えに設定
  3. 著者名を追加(タイトルの下に配置)
  4. 「ページ区切り」でページを分割
著作権ページの作成
  1. 新しいページに以下の内容を記載:
   Copyright © [発行年] [著者名]

   All rights reserved.

   ISBN-13: [ISBN番号](KDP で取得した場合)

   [その他の法的表示]
  1. 著作権記号「©」は「Ctrl + Alt + C」で挿入可能
献辞ページの作成
  1. 新しいページを作成
  2. 献辞の内容を記載(例:「愛する家族に捧げる」)
  3. 中央揃えで配置することが一般的

後付けの作成手順

1. 基本的な後付構成

電子書籍の後付には以下の項目を含めることが推奨される:

  • あとがき(任意):報告であれば本文にかけばよい。
  • 著者プロフィール(推奨)
  • 奥付(推奨)
  • 参考文献(必要に応じて):報告であれば本文と連動する。
2. 後付けの作成手順
あとがきの作成
  1. 本文最後に「挿入」→「ページ区切り」を挿入
  2. 「あとがき」というタイトルを入力し、「見出し 1」スタイルを適用
  3. 執筆の経緯や感謝の言葉を記載
  4. 著者の SNS や関連サイトへのリンクを含めることも可能[2]
奥付けの作成(不要)
  1. 新しいページを作成
  2. 以下の情報を記載[4]:
   [書籍タイトル]

   発行年月日:[発行日]
   著者:[著者名]
   発行者:[発行者名]

   © [発行年] [著者名]
   All rights reserved.
  1. 奥付は画像として作成することで、レイアウトを固定化できます

Word での実装上の注意点

セクション区切りの使用

 前付け、本文、後付けの各セクション間には,「セクション区切り(次のページから開始)」を挿入する必要があり,これは結構,やっかいなものである。セクション区切りは,リボンの表示パネルで下書きを選んで実行するのがやりやすく,明示されるので,重宝する。

前付け
図1 前付けのセクション区切り(次のページから新しいセクション)

 図1のように,本文の「目次」と「はじめに」の間に,前付けのセクション区切り(次のページから新しいセクション)を配置した。

 目次はこの段階でも最終的とは言えない可能性があり,更新の際に,セクション区切りが消える可能性があり,この形にしておくと,その可能性はなくなる。目次は本文作成時に作成している。なお,目次のページ数の非表示はまだ実行していない。

後付け
図2 後付けのセクション区切り(次のページから新しいセクション)

 文末脚注は目次以上に本文とのつながりが深いので,セクション区切りは難しい。図2では,セクション区切りが成功したところである。

 まずは,カーソルを脚注直後の本文領域(脚注ペインではなく、本文の最後の段落マーク)の直後にカーソルを置く。


1. 「表示」タブ→「印刷レイアウト」(または「レイアウト」表示)に戻す/確認
2. 脚注最終行をよく見るため、ホームタブの「編集記号の表示/非表示(¶)」をオン
3. 脚注番号のない本文最後の行末(段落マーク)の直後にカーソルをクリック
2.下書き表示で確認する(※トラブルシュート)
1. 「表示」タブ→「下書き」に切り替え
2. 同様に脚注領域と本文領域の境界を確認し、「脚注外(本文側)」にカーソルを置く
3. 「レイアウト」→「区切り」→「セクション区切り:次のページから開始」を選択
※下書き表示では脚注ペインと本文の切り替えが視覚的にわかりやすくなるため、誤って脚注領域内で操作するリスクを減らせます。
3.保護形式やフィールドロックを確認
• 文書保護やフィールドのロックがかかっていると、区切り挿入が制限される場合があります。
• 確認手順:
1. 「校閲」タブ→「制限の解除」
2. もし目次フィールドなどをロックしている場合は Ctrl+Shift+F11(Macでは⌘+Shift+F11)でロック解除
まとめ
1. 脚注領域外の本文位置にカーソルを移動 → 区切りメニュー有効化
2. 必要なら下書き表示で脚注/本文の境界を視覚化
3. 文書保護やフィールドロックがないかもチェック
以上の手順で、文末脚注のあとにセクション区切りを確実に挿入できるようになります。

最終確認事項

完成した原稿は以下の点を確認してください:

  • 各セクションが適切にページ区切りされている
  • 目次のリンクが正しく機能している
  • ページ番号が適切に設定されている
  • 著作権表示が適切に記載されている

これらの手順に従うことで、KDP の要件を満たした電子書籍の前付・後付を Microsoft Word で作成できます。

f. 目次の更新とページの非表示

目次の更新

 すでに目次を作成している場合,本文の文頭には目次が作成されている。目次領域を選んでいると,このTOPには,「目次」のタブが見える。これを開いて,全部を更新する必要がある。

 目次は前掲のように,前付けに配置されるべきものであり,セクション区切りはぼくの場合は,目次と本文の間にセットする。目次を更新すると,セクション区切りが消える場合は,新ためて,「セクション区切り(次のページから開始)」を,目次と本文の間に作成する必要がある。

目次のページ数の非表示

1.目次の本文をクリックして選択する。

    2.メニューから「挿入」→「索引と目次」を選ぶ。

    3.表示されたダイアログの「目次」タブを開く。

    4.「ページ番号を表示」のチェックを外す。「ハイパーリンクを使用しページ番号の代わりにリンクを付ける」はオンのままにする。

    5.OKをクリックして目次を更新。