光波測量によるネットワークをdroneマップに投影する方法 how to match distance-measured points from different setting bases with a drone-measured map
1. 課題 フィールドワークでの測量に問題が生じた。2020年測量のdrone3Dマップと,2018年の光波測距儀を使って得られたネットワークが対応しない。droneマップは光波測距儀で得られたgcpとの対応関係が取られている。そのgcpを使ってdroneマップをコントロールしているので問題はない。この場所には自衛隊のレーダーサイトがあって,コンパスが正常に作動していない危惧があり実際に西偏角度が想定されるものと異なっている。 光波測距儀の設置点は14カ所で個々の設置点で幾つか測点があって,前視と後視で,位置関係を一応把握したのであるが,手抜きしてGPS計測値を光波測距儀の地球座標値として使用した。これが今抱える問題の元凶だ。そこで,2018年の測量時の測点の現場写真からdrone3Dマップと対応できる測点を利用して,ls_1〜_14の光波測距儀の設置点を求めたいと思う。 2. ls_2の設置点を求める ls_2の放射星形区で3Dマップ上での2カ所を現場写真から特定できた。その一つは,図1のls2_20であり,もう一つは図2のls2_11である。後者は光波ネットワークとも一致している。それを図3に示す。 ls2_20の方は,図2に示すようにかなりズレている。図1の現場写真ではa-rotの下に見えるが,図2では3mほど内陸にずれ込んでいる。 求めたいのは図1の,赤字で「かわぐち」としたls_2の設置点の3Dマップ上の座標値である。 3. ls_2の3Dマップ上の座標値を求める 3.1 計算法 当初,3D空間での三角形平面を想定して計算すべきと考えた。しかしながら,熟考するとその必要性が無いことが明らかになった。光波測距儀の構造は台座を水平にして,光波測距儀が装着されている。コンパスで磁北をゼロ度として,台座上を時計回りに回転して,光波測距儀をターゲットに向けて,直線距離を求める。その測距儀の水平角と垂直角を記録する。これだけだ。今,問題なのは3Dマップでのls_2設置点を決定することであり,2D空間に過ぎない。 連立方程式は簡単にできる。文字表現の簡略化したい。現在の設置点をO’点として,3Dマップに載せうる設置点をO点(Xo, Yo)とする。ls_2放射星形区の2点のうちの1点について,現在の位置をA’点として,3Dマップに載せうる設置点をA点(Xa, Ya)とする。他の1点については,現在の位置をB’点として,3Dマップに載せうる設置点をB点(Xb, Yb)とする。 光波測量の結果から,次式が成り立つ。赤字表現しているのが未知数である。他の数値はすでに得られた計測値または3Dマップから読み取りできる。|OA|=|OA’|=√((Xa-Xo)^2+(Ya-Yo)^2) ⋯⋯⋯⋯⋯式(1)|OB|=|OB’|=√((Xb-Xo)^2+(Yb-Yo)^2) ⋯⋯⋯⋯⋯式(2) 上記の計算式が成り立つ理由は次のようである。光波測量の結果に基づいて位置ベクトルを3Dマップにプロットするのであるが,ls_2の設置点が決まらないだけであって,その測定結果のうち,水平距離,垂直距離,さらには視準線の間の挟角は変わらない。 式(1), (2)の連立方程式から,(Xo, Yo)の解が2個現れる。A点を中心として半径|OA|の円と,B点を中心として半径|OB|の円との交点は2点形成されるからである。3Dマップを見ている作者からするといずれが正解かは自明ではある。 式(1),(2) は何れも円の方程式である。両円は交わって,その二つの交点を通る直線が成立する。その観点で整理したいと思う。式(2)と(3)はそれぞれ,次のように整理できる。(Xo– Xa)^2+(Yo– Ya)^2 = |OA|^2 ⋯⋯⋯⋯⋯式(3)(Xo– Xb)^2+(Yo– Yb)^2 = |OB|^2 ⋯⋯⋯⋯⋯式(4) 二つの交点を通る直線の式は,式(3) – 式(4),で次のように,得ることができる。2(Xa-Xb)Xo + 2(Ya-Yb)Yo +〔(|OA|^2 – |OB|^2) – (Xa^2 -Xb^2) – (Ya^2 – Yb^2)〕= 0⋯⋯式(5) 両円の交点の計算は,式(3)と式(4)の何れかの円と式(5)の直線との交点を求めれば良い。ここでは,式(3)の円と式(5)の直線の交点を求めることにする。 式(3)の,中心座標(Xa, Ya),半径 |OA|の円,と,式(5)の直線の交点をM, Nとして,交点を表現したいのであるが,かなり複雑になるので,式(5)を簡潔化して次に表現する。 e=2(Xa-Xb), f=2(Ya-Yb), g=〔(|OA|^2 – |OB|^2) – (Xa^2 -Xb^2) – (Ya^2 – Yb^2)〕として式(5)は次のようにする。eXo + fYo + g = 0⋯⋯式(6) 以上,ここまで,Jan. 25, ’24記。 さて,Microsoft Excelの計算式の書式で,交点MNの座標値を次に示す。 Xm=(e*D–f*sqrt((e^2+f^2)*|OA|^2-D^2))/(e^2+f^2)+Xa⋯⋯式(7)Ym=(f*D+e*sqrt((e^2+f^2)*|OA|^2-D^2))/(e^2+f^2)+Ya⋯⋯式(8) Xn=(e*D+f*sqrt((e^2+f^2)*|OA|^2-D^2))/(e^2+f^2)+Xa⋯⋯式(9)Yn=(f*D–e*sqrt((e^2+f^2)*|OA|^2-D^2))/(e^2+f^2)+Ya⋯⋯式(10) なお,D=abs(e*Xa+f*Ya+g)⋯⋯式(11) とする。 式(7)と式(9),そして,式(8)と式(10),の違いは第二項と第三項の間の符合に見える。 この計算プロセスを踏まえたMicrosoft Excelファイルは次節に用意する。 3.2 測量値などの準備 ls_2放射星形区で,2カ所 ls2_11と_20の3Dマップ上の位置決めができている。ls2_11の座標値は変わらず,ls2_20だけを現場写真(図1)と対照して決定する必要がある。図4で特定している。光波測距儀による測量結果では,altitudeは1.171mだから,図4の右上に示した表では二行目が近い。まあ,これよりも海側下方であろうが,ほぼ対応しており,図4右上表の,Index 107222891を採用したい。X: -96035.546875, Y: -625538.500000, Z: 1.243085 以上から,式(3), (4)の既知数値は次のようになる。なお,注意すべきなのは世界測地系の (x, y)=(northing, easting)と3Dマップの(X,Y)=(easting, northing)は入れ替わっているということである。学校教育で使用するデカルト座標系に替わっている。繰り返すが,ls2_11の座標値は3Dマップと一致している。両円の半径は光波測距儀の読値HD horizontal distanceに対応している。 ls2_11を中心とする円関係: (Xa, Ya)=(-96021.025, -625506.207), |OA|=42.830⋯⋯式(12)ls2_20を中心とする円関係: (Xb, Yb)=(-96035.547, -625538.500), |OB|=65.508⋯⋯式(13) 式(12), 式(13)は式ではないが,便宜上,式番号を与えた。「3.1 計算法」の計算プロセスをMicrosoft […]