Google EarthのUTM位置情報の精度 Positional Accuracy of UTM Data in Google Earth
はじめに
フィールドワークでの測量の際には,一般に最寄りの測量基準点を利用するのは難しい。Google Earth Pro(今後GEPと仮称)の空中写真はUTM座標系の上にモザイク上に配置されていて,ROI(region of interest, 関心領域)付近を表示して,手の形のカーソルの経緯度などが表示される。この機能を使って,ある種の構造物の端点を測量の基準点を代用できないかと考えた。
1. GEPの最も確かな位置情報
これについて真面目に語るには,地図投影法から始めなければならないがここでは述べない。GEPの位置情報で最も重要な観点を次に。
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GEPで表示されるカーソルが手の形になったときの“人差し指の先端”の地球座標値は,地図画像の下縁(ステータスバー)に示される。その座標値は、「その瞬間に指している地表面上の座標情報」を極めて正確に反映する。
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この情報は極めて重要である。
2. 測量基準点2ヵ所を利用
次の図1にはLiDAR測量の手法を求めるために設定した側線などが示されている。

赤線で示したルートマップの南西部には打越池があり,この南西方には三級基準点3-61,北西方には同3-41が見えるが,この2点の平面直角座標値と,GEPで読み取られたUTM座標値を比較することで,GEPから得られる座標値を評価したいと思う。

3. GEP画像の測量基準点2ヵ所のUTM座標値
GEPでは過去の空中写真を利用することができる。特に都市部ではその選択肢は多い。当該域では,2008年8月1日撮影のものが最も画像の解像度が高いように思うし,測量基準点が格納されているハンドホールの蓋の中心をほぼ特定することができる。次の写真は昨夕,撮影した現場写真である。


さて,GEPを開いて,Windows PCではoptionを選択して,macでは設定で,3Dビューを垂直倍率1に設定し,「経度/緯度を表示」でユニバーサル横メルカトール図法を選択し,2008年8月1日撮影の空中写真を表示している。そして公共基準点3-41と3-61それぞれの真上に移動して,左下に見えるスケールが3mまで拡大させるのである。GEPの飛行航路を水平にしてコンパスを北に向ける。そして,①ポインタの人差し指の先をハンドホールの中心に置いてスクリーンショットを撮る。②プレースマークの先をハンドホールの中心に置いて新規目印のパネルで好みの設定をしてスクリーンショットを撮る。③そのパネルでOKすると何故かプレースマークの位置がズレる。そのズレ値を見るためにプレースマークをアクティブにして右クリックして「情報を取得」を選択するとパネルを開くのでそのスクリーンショットを撮る。この①〜③の作業で,UTM座標値が変化する。この問題はグーグルさんも気づいているはずだけど,放置されているようだ。何だろうなあ。サポート記事などを見ましたが解決できない問題です。この投稿で精度はあきらかにしますが。本サイトに掲載している画像は眼目については拡大すれば読めるように解像度を設定していますので,読者は各自拡大して見てください。
次の図4〜6は,三級基準点3-41の上記①〜③のスクリーンショットを示す。①ではポインタはスクリーンショットでは撮影されないので,公共基準点番号を追記している。



次の図7〜9は,三級基準点3-61の上記①〜③のスクリーンショットを示す。①ではポインタはスクリーンショットでは撮影されないので,公共基準点番号を追記している。



図4〜9の座標値を次の表2にまとめた。GEPの三種のUTM座標読み値である。レンジは3m未満であるがこれをどう考えるか。なお,図4〜9ではUTM座標系のUTMゾーン53N(northern sphere)に属しているが,GEPでは誤って53S (southern sphere)と表記されている。

いよいよ,公共基準点情報とGEPのUTM座標読み取り値の比較対照することになる。
4. 公共基準点座標値をUTM座標値に変換する
平面直角座標系からUTM座標系に変換するには,平面直角座標系を経緯度で表現する必要性がある。緯度経度座標をUTM座標に変換する というウェブサイトには無料ウェブ版が提供されている。urlがhttpのため,Firefoxを利用した方がいいと思う。Googleはhttpsを推奨かつ強制しているのでChromeなどは使えないかもしれないと考えて,トライしたが普通ではアクセスできない。