玄関引き戸とその敷居の補修 repairment of sliding doors and their rails of lounges

はじめに

 父の昇天の後,タニハの玄関鍵の開け閉めには苦労してきたが,この春の退職まで,向き合うことは無かった。正面玄関,通用玄関,そして玄関脇倉庫口はいずれも,同じ引戸と花崗岩の敷居になっていて,類似の問題を抱えている。

写真1 正面玄関と玄関脇倉庫

上の写真1は今年2020年10月初旬のものである。草刈をまだしていないが,屋根の補修や聚楽壁などの修復は終わっている。右の写真は正面玄関で,この右手に倉庫がある。

写真2 正面玄関
写真3 正面玄関の真鍮レールが曲がっている
写真4 通用玄関では引戸が動きにくい 掃除の前に撮った
写真5 玄関脇倉庫も上棧と鴨居の空間がない

 まずは,取っ組み易い通用玄関の上棧削りから始める。戸車の型を調べて問題があれば,更新する必要がある。倉庫口も同様の対処が必要となる。正面玄関はレールの交換だけでなく,花崗岩と真鍮レールの穴開けなどの作業が続く筈である。

 以上,Dec. 17, 2020記

1. 通用玄関にチャレンジ

 この場が最も簡単で,ここで,戸車と真鍮レールのチェックをして,工事計画を立てたいと思い,帰りのアイスバーンが回避できるであろう本日,Dec. 18, 2020にタニハに向かった。Googleでは,通い慣れたルートと違うルートを指示するので,アイスバーン回避のために,このルートを検証した。ワインドと急坂に関して,今回のルートの方がいいことがわかった。所用時間は変わらない。

写真6 鴨居が下がる西側
写真7 西寄りにジャッキセット

 ちょっとギシギシと鳴った。肩と頂部をそれぞれ5mm下げた方がいいようだ。東寄りだと適当だが。簡単に掃除したつもりだが,かなり積年のほこりは溜まっている。

 外して,上棧の削り込みを何とか本日完了した。

 

写真8 外した戸車と戸車の穴
写真9 戸車とその留め釘と,真鍮レールの釘

 戸車は動かないということは無いが,この際,全部交換したい。2x2x3=12個必要だ。戸車固定用の釘は写真9のように,木ねじではなかった。

 右の写真9の右下の小さな釘は真鍮レールに刺さっていたもので,この下部は花崗岩の方に残った。

写真10 花崗岩に掘られた穴と埋められた木の杭?

 この様子を見た時に事態が飲み込めなかった。iPhoneの写真を見て,理解できた。花崗岩に穴を開けようとしたが,不定形に割れている。そして,セメントを埋めて,それに木の円柱杭を押し込んだようだ。そして,真鍮レールに穴を開けて,木杭に打ち込んでいる。だから,耐久性が無くて,抜けてしまったのだ。ひどい工事だ。

 で,ぼくはどうするか。

以上,Dec. 18, 2020。

2. まずは戸車とその釘について

 45年前に父が建てた家なのだが,装着されていたものにほぼ該当するものをネット上で確認した。これはヨコヅナ製の「RJC鋳物枠ローラー戸車の袖平型」という。ローラーは鉄製なので,結構錆びてはいるが問題なく回転している。始めてチェックしたし,今後はもう年齢的にぼくが実施することは考えられないので,交換するのが妥当と思っている。

 交換する上で注意すべきなのは,ねじ穴の位置,戸車を入れ込むように削り込まれた穴の形,戸車を交換した際の鴨居の溝から敷居の真鍮レールのトップまでの距離(図11のM+(E-I))がほぼ一致している必要がある。ネット上に出ている袖平型とされる図面は,ぼくが見た販売サイトはいずれも過って袖丸型が掲載されているので,修正して図11を用意した。 

図11 RJC鋳物枠ローラー戸車の袖平型

 図面では,赤線でローラーの丸型を平型に修正している。図中に,M+(E-I),の該当場所を寸法線などで記している。タニハの既存のものは,M+(E-I)=5+(5-2)=8mmである。

 図12の情報から,RCJ-0363は,M+(E-I)=5+(8-3)=10mmであり,この戸車に交換することで,引戸が2mmだけ高くなるので,上棧を削る深さを考慮する必要がある。A長も,76-72=4mmだけ長いので,既存の支持溝長を2mmずつ伸ばす必要がある。ローラーを入れ込むポケットの幅は,A-2L=76-2×15=46mm長で,F-M=30-5=25mm深であるが,タニハの引戸に掘られたポケットは既存の戸車のA-2Lが45mmであり,RCJ-0363の厚さGは16mmで既存戸車14mmより大きいが,たぶん,新たに削ることなく,このRCJ-0363をセット出来るはずである。

 タケダネットでは319円/個だが,送料情報が注文時点では得られないのでかなり不安ではある。この関係の送料は本体価格よりも高くなる可能性がかなり高いのである。https://www.ks-takeda.biz/item/akawaku_roller_hira30/

図12 RJC鋳物枠ローラー戸車袖平型-0363情報と,タニハ既存戸車情報

 この戸車を留める釘は,タニハでは木ねじではなく,ネジ溝無しの真っ直ぐの釘であった。頭の直径4mm,釘部の直径1.8mm,およそ25mmであった。このRCJ-0363のφKは3.2mmあるので,固定のためには,タニハのもともとの1.8mmよりも太い釘を選ぶのが適当であろう。

 形やサイズからすると,より耐久性の高い戸車の選択肢,ヨコヅナBTSベアリング入真鍮戸車袖平型ステンレス枠,のBTS-0363もある。ただ,タケダネットで1920円(個,税抜き)である。

図13 ベアリング入 真鍮戸車 袖平型 ステンレス枠

 図13でBTS-0363について見ると,M+(E-I)=5+(5-2)=8mmとなり,タニハの現在の戸車と同じ値を示している。ただ,A長は76-72=4mmだけ,B長も64-60=4mm長い。B長については二つの釘穴はそれぞれ2mm外側にズレるにすぎない。ローラーを入れ込むポケットの幅は,A-2L=76-2×14=48mm長で,F-M=32-5=27mm深であるが,タニハの引戸に掘られたポケットは既存の戸車のA-2Lが45mmであり,BTS-0363の厚さGは14mmで既存戸車と一致しており,たぶん,新たに削ることなく,このBTS-0363をセット出来るはずである。

このBTS-0363については,使用品度の高い正面玄関と玄関横倉庫のそれぞれ日常的に利用する2枚の引戸だけに適用することも可能かと思っている。以上,Dec. 19, 2020記

 今日,コーナンプロで,安い方の,RCJ-0363,を12個入を注文してしまった。まあ,いいわ。釘については自宅の道具箱から3種類の釘をより分けた。使ってみないと解らない。 Dec. 20, 2020記

3. 真鍮レール周辺の準備

 写真10に見られるように,真鍮レールには釘がセットされていた。この通用玄関では比較的レール移動が無いように思われたが,2本それぞれで1個所ぐらいしか,固定されていない。風化の結果である。写真10の木杭のように見えるのが実際木製なのかをドライバーなどを突っ込んでみて確かめる必要はあろうが,まあ間違いないだろう。

図14 真鍮レールの穴と抜いた釘

 左の写真では,敷居の水洗い直後であるが,釘を抜いて,真鍮レールの上に載せている。この真鍮製の釘はφ1.8mmで,長さは10mm,これは折れてしまっているので,元々より長いものである。

 真鍮レールの断面は8mm正方形で,長さは177.5cm長である。釘穴は5ヶ所。

 

図15 真鍮角レール 8x8x1820mm

真鍮レールはモノタロウから,(8×8)x1820 (mm) 販売価格(税込)¥3,179で,販売されている。製造元は,水上MIZUKAMである。送料不明。

https://www.monotaro.com/g/03986365/

図16 スチール釘なんだけど

これに対応する釘は,SPフロア釘というもので,品番15 (1.8) x 38で,600本入りが税別で399円である。スチールであることが多少心配。

https://www.monotaro.com/g/00866611/

  次の図17はモノタロウで本日,Dec. 21, 2020, 購入した。なんと長尺なのに,送料無料だった。コーナンプロで見積もりして頂いたが,モノタロウから比べるとかなり高い。取り寄せ送料も請求された。モノタロウは3500円以上だと送料が無料になる。ありがたい。戸車は結局,高級な方は諦めた。

図17 モノタロウで注文

 注文当日にもう発送されたらしい。戸車の方。Dec. 21, 2020記

4. 真鍮角レール固定のための工具とパテなど

 真鍮角レールの固定に関連しては,コーナンプロの店長のアドバイスを踏まえて,工具やパテなどを購入した。旧式のようではあるが廉価な振動ドリルを購入した。コンクリート,金属,木材に対応したドリルである。機能などを説明書を見て確認する必要がある。

図18 コンクリート,金属,木材の穴開け用の振動ドリル

 次の図19のドリルビットdrill bitもコーナンで一緒に購入したが,振動ドリルと合うのかどうか,確認する必要がある。下のビットの説明も確認する必要がある。左の木工用ドリルセットのケースは開けることができない。コーナンプロの技術職の方も開けることができなかった。この方はすでに同じ製品のケースを壊して開けていた。再挑戦だったが駄目だったのである。

図19 木工用と鉄,木材,樹脂などに対応しているビットだけど

  真鍮レール再設置のための,パテなどは,次のものである。

図20 ボンドなど
図21 追加工具

追加 Dec. 24, 2020 コーナンプロで上記の振動ドリルの説明を受けた昨日,追加購入。図21左の赤い頭のものは角錐万能ピック 288円,図の中央のものは振動専用ビットで「ノンストップ型 ミカゲ石,石材用」488円。この写真にはないが,1mのアルミ板360円を購入した。墨入れ用である。スケール付きだとこの10倍はする。万能ピックは,ポンチの代わりにもなり,次の作業の際に,釘位置決めの際にも使えると思う。図21の右のものであるが,別途,電気ドリル使用時の目の保護のために,手持ちの保護めがね,理研オプティック製保護めがね(ゴーグル型)M10C-HF,を用意している。

5. 通用玄関の今後の手順

 真鍮角レールの更新は,正面玄関のレールが踏み散らかして曲げてしまった1本だけである。さし当たり,通用玄関については戸車が到着すれば,数時間内に工事が可能の筈である。真鍮角レールを如何に固定するか。これが最大の問題である。木杭が腐っていない場合の工事は簡単だ(追加Dec. 24, 2020: Dec. 22に確認した。固くて問題無いようである)。通用玄関については,次の手順になると思う。

  1. 改めて,木杭が腐っていないことを確認する。
  2. 真鍮角レールに残っているフロア釘を全部外して,ちょっとクリーニングか。
  3. レールを既存の位置から軸方向で,木杭内で少しずらす。
  4. レールを仮設置して,ピックを刺して,その位置決めをする。
  5. レールを外して,位置決めした5ヶ所について,木工用ビットφ3mmで深さ45mmほどの垂直穴を開ける。
  6. エポキシパテを細長く丸めて,この5ヶ所の穴に充填する。
  7. ウルトラ多用途ボンドをレールの両端と5ヶ所の穴の間を想定して,花崗岩の敷石に直接,塗る。
  8. そして,レールを載せて,5ヶ所の穴とレールの穴を合わせて,ボンドの位置付近を上から押さえつける。
  9. そして,エポキシパテを埋めた5ヶ所に,フロア釘を刺す。
  10. これで,レールは固定される。もう一つのレールについても同様の作業を実施する。

 乾かしている間に,引戸の戸車の交換を実施すること。

以上,Dec. 21, 2020記,Dec. 24追記

6. 通用玄関を実際にやってみたら

 正月三日,お天気が比較的よくて,寒さに戦きつつ,タニハに出かけた。で,想定外があった。レールが簡単で,戸車交換が大変だった。

図22 折れていない釘が15mm長
図23 15mm釘を打ち込み

図24 15mm長に切る

 通用玄関レールで辛うじて残った釘付近をペンチで引き抜くと,簡単にレールは花崗岩から離れた。その残った釘を側面から見たのが図22である。折れ尺の10mmから25mmに渡っているので釘の長さは15mm長ということになる。用意していたフロア釘は38mm長なので,余りに短い。実際に,金槌で打ち込んでみると入らず,曲がってしまう。

図25レールは完成

 そこで,図24のように38mm長の釘を先から15mm長にすべくペンチで切り取った。図24に見える樹脂製の頭をもった槌でペンチの頭を叩いて,押し切ったのである。そして,打ち込んだのが図23の釘でレール頂面レベルに入り込んだ。この釘は既存の釘穴を避けて木杭に打ち込んだ。つまりは,長く考えてきた振動(電気)ドリル,ビットを全く使う必要がなかった。ボンドも不要だった。ペンチを使えば簡単にレールは外れるであろうが,通常の使用環境ではしっかりしたものである(図25)。また不具合が生じることがあれば,何らかの改善が必要ではあろうが。

 さて,戸車の交換である。

図26 新戸車が入らない
図27 旧戸車は入りきる

 図26のように,新戸車はエプロン部分が入らない。図27のように旧戸車は完全に入っている。図27では戸車の上の部分が赤く覗いているが板の削り込みと視角のためである。

 

図28 新旧戸車の厚さを比較
図29 新戸車の直上に旧戸車の載せている

 図28,図29のように,新戸車は旧戸車に比べて,より厚く,エプロンもより高い。

 それゆえ,引戸の戸車設置用の穴は,より幅を大きく,戸車の釘付け面もより深く彫り込む必要がある。

 戸車の旧戸車用の設置穴を計測して,幅と彫り込み深を正しく求める必要がある。釘は既存のものより長くて太いものを考えていたが,金槌が狭い溝には入らないので,従来のサイズを踏襲した方がよさそうである。なお,この造作はノミだけでは困難で,折角購入したドリルを使いたいと考えている。

 ただ,前述「図12の情報から,RCJ-0363は,M+(E-I)=5+(8-3)=10mmであり,この戸車に交換することで,引戸が2mmだけ高くなるので,上棧を削る深さを考慮する必要がある。A長も,76-72=4mmだけ長いので,既存の支持溝長を2mmずつ伸ばす必要がある。ローラーを入れ込むポケットの幅は,A-2L=76-2×15=46mm長で,F-M=30-5=25mm深であるが,タニハの引戸に掘られたポケットは既存の戸車のA-2Lが45mmであり,RCJ-0363の厚さGは16mmで既存戸車14mmより大きいが,たぶん,新たに削ることなく,このRCJ-0363をセット出来るはずである。」が関わるので,まずは釘付け部分の削り込みは,待った方がいいかも知れない。

以上,0: 14AM, Jan. 4, 2021

7. 続 通用玄関を実際にやってみたら

 昨日に続き,天候の関係から,本日,Jan. 4, 2020,も出かけた。そして,1枚の引戸を無事仕上げることができた。その経過を明日,書き込みたい。さしあたり,図30を掲載する。

図30 旧戸車収納彫り込みと新戸車の関係

 図30(図11が下敷き)の黒色の線と文字は,新規の戸車の寸法図である。オレンジの実線は下棧底,破線は旧戸車収納のために彫り込まれていた空隙に当たっている。緑色は,問題となるところで,一つはエプロンの飛び出し,もう一つは小さい戸車収納空隙を示している。

Jan. 4, 2020記

 新たな戸車設置経験をまずはまとめたい。

図31 新戸車のはみ出し 2mm
図32 問題2点の解消作業中
図33 埋め込み完成

 まずは,新戸車自体を空隙に入れることができなかった。図30でオレンジ色の破線で示した戸車収納空隙の長さが足りない。新戸車は,A-2L=46mmが必要である。ところが旧戸車が小さいので空隙も小さかった。そこで,図32ではその作業が終わった後であるが,見えないが,新しい戸車を填め込むために,ノミと木槌を使って,A-2L=46mmより多少長くした。そのようにして,図31のように新戸車が一応,入り込んだのである。

 その結果,エプロンが確実に下棧からはみ出していることが明確になった。このままだと,通用玄関口に戻す時に引っかかって入らないし,レールを載せている花崗岩をひっかく可能性がある。これを解消するためには,取付場と下棧距離を図31の場合だと2mmだけ増やす必要がある。つまり削り込む必要がある。平面的に削るのは困難で電気ドリルで深さ調整して多数彫り込むことを考えていたが,まずは,ノミで削ってみようと思い立った。その途中の作業過程を図32に示している。

 下棧に彫り込まれた「レール用の溝」を更に彫り込んで,「戸車固定部の面」が用意されているが,まずは,「レール用の溝」と「戸車固定部の面」の崖(大げさ?)にノミを崖側にノミの裏を当てて打ち込んだ。感覚としては3mm程度? なお,ぼくの腰はこの写真の左手にある。そして切れ刃を奥方向に向けて,崖側から填め込み穴に向かって少しずつ削り込んで行く。そうすると,結果として平面を確保できた。棧の柾目方向に削っているためであった。図32の右手の「戸車固定部の面」も,腰を移動しないままにやるとうまくいかない。この戸車穴の次に手抜きをしたら,不格好になった。腰を移動することは重要だ。図33には,この二つの作業,つまり,填め込み穴の長さを伸ばし,「戸車固定部の面」を深めた,結果,うまく,新しい戸車が落ち着いた様子を示している。

図34 木ねじ設置完了

 しっかりと固定されていて,釘は必要無いように思えたが,不安なのでねじ込んだ。釘を用意していたが,種々工夫したが下棧が邪魔で打ち込めない。そこで,急遽,あり合わせの木ねじを使った。

 この作業を実施する上で,幾つかの工夫をした。それを次に。

図35 ハロゲンストーブの利用
図36 金属タワシで掃除
図37 樹脂と木の槌

 夜型人間のぼくは自宅を出るのが遅い。そこで大工仕事を始めてしばらくすると暗くなる。玄関灯が上からのもので暗い。そこで自宅から持参したハロゲンストーブを照明に使ってみた。多少は暖かいし横方向の穴も見易くなった。それが図35である。

 図36には金属タワシが見える。これを使って填め込み穴の削り滓を削り落として,その後で掃除機で吸えば綺麗になる。戸車に削り滓が入って動きにくくなることを予防するためである。

 図37には二つの槌を示す。戸車の固定部分を木槌の柄尻に当てて,樹脂の槌で木槌の柄の頭側を叩くことで戸車の固定部が深くしっかりと入る。

図38 ヤスリと釘
図39 木ねじとヘッドライト
図40 買い換えたネジ

 コーナン今宮で,昨日出かける前と,経験を踏まえて戻ってきた時に購入したものを,それぞれ図38と図39に。図38にはレール磨き用のアルミナ研磨シート,釘は結局使わなかった。図39は新たに購入したものだが,木ねじについては本日, Jan. 5, によりよいもの(図40,右下のものはJan. 4に実際に使ったものの残り)をコーナンプロ今宮で購入し,図39の木ねじをコーナン今宮に返却した。よりよいというのは,頭の直径が戸車固定のための穴(φK=3.2mm)より大きくて(φ3.5mm),ネジの長さが前回と同じものを意味している。図39の右手のものはダイソー100円ショップで買ったLEDヘッドライト,よく出来ているけど頭にベルトを回すと息苦しい。帽子が被れなくなったことに呼応している。使うかどうかだなあ。

 いまのところ,1枚の引戸だけ完成した。2個の戸車交換を交換しただけであるが,戸車空隙サイズにかなりの違いがあった。両者のバランスを得るための工夫もあったようである。それゆえ,戸車交換の際には,毎回,サイズを確かめる必要がある。そして,工作である。その手順を次にまとめたいと思う。

1. 戸車の高さは,F+E=38mm,だから,下棧からの戸車空隙の深さは40mm以上が必要である。それを折れ尺で確かめる。二つの情報ではかなり深さには余裕があるので,増し堀りは不要かとは思う。必要な場合はノミで適当に彫り込むのもいいかとは思うが。

2. 戸車填め込み部の長さA-2Lを,キリを使って,46mmより多少長くなるように伸ばす。戸車固定部の末端からL/2=15/2=7.5mm付近がネジ穴なので,46mm以上と言っても,戸車の填め込み部の長さは最大48mm程度であろう。増し削りの深さは 7/18*15<15mmほどで十分。

3. 「戸車固定部の面」の下棧底部のからの深さを調べること。13mmが必要である。2.の過程が終われば,まずは新戸車を入れて,エプロンの出る厚さを調べて,その上で削るのもいいが,M+E=5+8=13mmだから,折れ尺で深さを求めればよい。ノミで削り込みつつ,深さを計測してゆき,削り過ぎないことが重要である。

4. そして,戸車を空隙に填め込んで,一つ目錐でガイド穴を作って後に,木ねじをまっすぐに締め込んだら,終了である。

 完成した引戸を新しく釘付けしたレールに走らせた。スイスイと動く。ただ,釘の部分でカタカタと鳴る。釘の打ち付けの際に叩き込み過ぎた結果であろう。正面玄関と倉庫口の際にはこの点,気をつけねばならない。

以上,Jan. 5, 2021記

図41 釘を曲げて固定

寒さが緩んだJan.14に,引戸の2枚目の戸車2個を交換した。一つの戸車については釘が残っていて,木ねじが入らない。仕方なく頭径が小さな釘を使って途中で曲げる形にした。もちろん,戸車の車の移動に邪魔にならないよう,曲げている。

8 正面玄関

8-1 敷居レール

 いつもだったら,戸車2個替えたら,もう帰宅なんだけど,ちょっと早起きしたから,今日はもう1本。倉庫口か正面玄関か迷ったけど,大物の正面玄関にトライ。ジャッキアップすることなく,内側から見て左面から引戸を二つ共に外すことができた。上棧削りは不要であった。そして敷居の花崗岩を洗った。レールの10本の釘のうち,残っていたのは1本だけだった。

 写真3のように,レールの1本は曲がっていたので,予め新たな真鍮レールをモノタロウで購入して手許にあった。既存レール2本を外して雑巾で拭いていると曲がっている印象がない。適当に置いてみたらちょっと曲がっているだけで釘による固定で何とかなりそうである。新規に購入したレールと曲がったレールの5個の穴の位置が一致しない。新たに穴を開ける必要がある。かなり面倒なことと日和って,作業過程で問題が無いのであれば,既存レールを使うことにした。

図42 真鍮の木ねじが見える
図43 出てきた木ねじ

図42にプラスネジが見える。図43では抜いてそばに置く。

 通用玄関のレールを留めていた釘は,径1.8mmの図16のような真鍮製フロアー釘であったが,この正面玄関では,十字の真鍮製木ねじが使われていた。劣化が激しく,通用玄関では簡単に抜くことができたが,この正面玄関では,図21左のポンチを使って何度も叩いた。どうしても抜けないものが2本あって,電動ドリル + 径2mmビット,を使用したが穴を開けるのもなかなか大変で,その上でポンチを使って,何とか落とすことができた。振動で真鍮レールとの間が緩んだのであろう。真鍮レールにビットがぶつかるとガタガタと衝撃がある。釘は腐っているので比較的抵抗が無いがレールは腐っていない。同じ真鍮だと思ったが,径の差が起因しているのか。

図44 電動ドリルと径2mmビット

 振動モードと回転モードで実施した。

図45 真っ直ぐになったレール

レールが真っ直ぐになった。

図46 やっとできた
図47 ベニア止めのネジ
図48 ベニア止めネジを使って

長さ2cmもあるが問題無く,打ち込むことができた。

 レールの穴への釘の打込については,通用玄関での反省があって,レールは叩かないようにして,釘の頭を釘抜きツールを使って金槌で叩き込んだが,相変わらず,引戸を動かすと,ガタ,ガタ,と言う。とはいえ,これからはレールに何らかの支障があれば,引戸を外して,簡単にメンテできることがわかった。今回の釘はステンレスなので真鍮よりは耐久性があるだろう。

 明日は引き続き,引戸2枚の戸車の交換である。連日タニハ行きは本当に疲れるが,16日は母の21年祭を自宅で新婚の長男夫婦とともに四人で執り行うので,暖かい14日,15日は外せない。

以上,Jan. 14, 2021記

8−2 戸車交換とその後の調整

図49 ステンレス戸車

 戸車は,通用玄関のヨコヅナ鋳物枠ではなく,ステンレス製であった。形態が異なるために(M+E: 鋳物枠13mm,ステンレス製は8mm; G: 鋳物枠16mm,ステンレス製は13mm),釘固定面は,幅3mm,深さ5mmほど削り込む必要があった。

図50 内側右手引戸と柱の隙間

 何より残念だったのは,交換後に引戸の動きが交換前と違わないことである。ローラー下端とエプロン下端の距離Iはいずれも3mmで一致している。この対策として,次回は次のように考える。

1 引戸下棧底と敷居の距離を確認する。擦れているのではないか,ということであるが,配置からはあり得ないことではある。2 レールをアルミペーパーで磨く。????

2 幾つか,サイズを確認して,今後の対策を練りたい。 引戸の動きを見ていたら,図50の現象を確認した。玄関枠の内側から見て,右のスギ柱と右の引戸の間にV字の隙間がある。最下部付近で6mm,肩付近で13mm。引戸の高さは肩までで1800mmなので,V字の隙間の成す角度は,arctan ((13-6)/1800) = 0.223度となる。

 さらに他の問題として,右の引戸の最下部付近の花崗岩の切れ込みが右柱よりも出っ張っていて引戸が右柱と離れているのである。思えば,隅田さんが来られている10年ほど前にも,二人でこの現象に驚いた記憶がある。幸い,柱が鉛直方向である。引戸の歪みも無いと考えてよい。左の引戸は左の柱にピッタリと引っ付く。そこで考えられる歪みの概略を次の図51に示す。

 黒色枠は玄関枠である。垂直のスギの太柱2本と,水平の花崗岩の敷居,そして,スギの鴨居。緑色の線は引戸を戯画化している。二つの引戸に歪みはない筈である。

 次回,出かけた時に,次の確認をしたい。両引戸間の関係である。重なり部分が完全に一致しているか? 図51のように,正確には一致していない筈である。右の引戸が右柱に接触できないように花崗岩の凹みが足りないので,右の引戸の右下隅を切り取れば良いが,そうした場合,両引戸の重なりが10mm程度小さくなるが,違和感は無いかも検討する必要がある。違和感よりも右引戸と右柱の接触を優先すべきであると思うが。

 「図51のように正確には一致していない」のであれば,それを修正すれば良いことになる。まずは,右引戸の右下隅を切って,右引戸が花崗岩の切れ込みに入り込んで右柱に接するようになる。

 その上で,図51の戸車のLとRの関係を変更する。その方法としては2種類ある。
1. 戸車Lの釘付け面と戸車の間にアルミホイルを入れて釘付け面とローラー下端の距離を伸ばして,V字の隙間を解消する。
2. 戸車Rの釘付け面を更に削り込んで,釘付け面とローラーの距離を下げて,V字の隙間を解消する。
 1.の方法では,上棧が鴨居の凹みに接触して右引戸が動かなくなる可能性がある。
 2.の方法では,釘付け面を削り込むことで,将来の戸車交換の選択肢が小さくなる。
 いずれを可とするかは難しいが,前者の方法を取りたいと思う。

図51 内側から見た正面玄関

 その場合,右引戸が動かなくなる場合は,上棧首と肩を多少カンナで削ることになる。3mmほどだろうか?
 距離LRを求めなかったが,LとRの敷居から釘付け面の比高は,距離LR*sin (0.223度)なので,一応,次回行った時に比高を確かめたいと思っている。

 左の引戸については,ステンレスの戸車が劣化していないようなので,交換せずに掃除やオイルを吹き付けるだけに留めたいと考えている。右引戸と同様に削り込んで戸車を鋳物枠に替えると,折角の左の柱との適切な接触が壊れてしまう可能性がある。両引戸の関係が従来のものと変わり,両引戸の重なり部分つまり引違戸中央の鍵は切り欠き部分がずれてしまう。鍵については保安上の問題があるので,このページでは描かない。

Jan. 15, 16, 2021記

8-3 完成した

 Fri., Jan. 15以来,ほぼ一週間のThu., Jan. 21,お天気に恵まれた。懸案の右引戸と右柱の間のV字隙間の解消がテーマであった。成功した。以下,手順などを述べる。

図52 花崗岩の切れ込みと右柱の距離

図52からわかるように,花崗岩の切れ込みと右柱の距離が一致していないので,右引戸を一杯右に寄せても,図50のように,全面的に隙間ができてしまう。

花崗岩の切れ込みと右柱の位置がほぼ5mmズレているので,右引戸の右下隅にこの分の切れ込みを入れる必要がある。

 触る前に,左右引戸を一杯に閉じて観察したが,隙間以外は特に,見た感じの違和感はなかった。見ただけでは,わからないというのが妥当である。右引戸を外して,図51の戸車LRの距離を計測すると,66cmであった。距離LR*sin (0.223度) = 66cm*sin(0.223)=0.257cmだから,3mm弱である。R側の戸車の固定ための木部を感覚的に削り込んだ。3回填めたり外したりした。切れ込みも終わった。

図53 右側Rの戸車の固定木部を深くした

図53のように,図51のRに該当する戸車をより深い位置に置いた。戸車のエプロン下端と下棧下端の距離は,左では2mm,右では4mmであった。この写真は最後の手直し直前のものである。

図54 (左)隙間幅がほぼ一致 (右)最下部に隙間
図55 右下切れ込み

 右引戸を改めて填めると,R戸車の配置がより深くなったことで,図54左のように右下隅が花崗岩に再び多少押されているように見えた。そこで,図55のように,更に切れ込みを上方に拡大した。そして,要らんことなのに,更に右R戸車の固定木部のうち,右側だけ1mmほど削り込んだ。

 その結果,図56のように,下棧下端の右側付近が花崗岩の敷居に擦れて,引戸自体がほぼ動かなくなってしまったのである。
 右引戸をまたまた外して,左L戸車と右R戸車のローラー下端と下棧下端の距離を計測すると,それぞれ2mm,4mmになっていた。2mmだけ下棧下端が花崗岩の敷居の載る形になっていた。
 そこで,図57のように,下棧下端の右側部分を平カンナで削ったのである。

 その結果,右引戸は動くようになったが,図54右のように,右引戸の上端付近で右柱に接触し,下端付近で極めて狭いが小さな隙間ができてしまったのである。

図56 右下で擦っている

 図57 下棧下端の右手を平カンナで削る
図58 完成形

 図58が完成形である。中央の左右の引戸の重なり部分は両引戸の竪棧に完全に一致した。上棧の肩と鴨居の距離も完全一致している。両柱と引戸の隙間もほぼ無いと言って良い。左の引戸については,ローラーにCRC5-56オイルを入れるだけにした。レールにもオイルを吹き付けた。今は多少臭っている。

 通用玄関同様,動きが良くなった。レール位置を補正することで,鍵のオスメスが一致して,過去無いぐらいに鍵掛けにストレスが無くなった。玄関口はあとは倉庫だけだ。レール位置の補正をする際にベニア用釘を抜くのに千枚通しをレールと花崗岩敷居の間に差し込んで抜いた。その際,コンクリートの粉末のようなものが飛び散った。

以上,Jan. 21, 2021記,Jan. 22一部修正。

9 倉庫口

9-1 初日

 通用玄関と正面玄関が完成して,残りは倉庫口である。積み上げてきたので,この三番目の作業が最も簡便になると想像していたが,全く違った。今日,実施したことを次に。

 まずは,図59に見える内側から見て右手の引戸と柱の間の固定金具を外した。正面玄関,通用玄関,そしてこの倉庫口のいずれにも固定金具が使われている。業者さんの考えの無い仕業だ。この倉庫口の外側からみて左手の隅(図60左隅)では,雨が吹き込んでその水が乾かないために,図63のように,雨風が集まる右引戸の右側の戸車は錆び落ちて,この周辺の下棧が膨れている。この防御策としては,日常的にいずれの引戸も開け閉めすることだ。そのように設計されているのに,まるで西洋式ドアと同じ発想で引戸の機能が破壊されているのである。

 通用玄関同様,この倉庫口でもジャッキアップが必要であった。図60のように支え棒がメキメキと頽れる寸前までジャッキアップしたが,限界だった。図61のように,ジャッキアップ一杯あっても,上棧の戸首も肩も鴨居木部に隙間が無いほどに位置していて,全く外すスペースが生まれない。

図59 内側から右手の引戸固定金具を外す
図60 ジャッキアップしても
図61 上棧と鴨居の隙間ができない

 ほぼ絶望して,別途,レールを引き抜くことはできないかとも考えたが無理なので,試しにレールごと引戸を手前に外そうとした。幸い,図62のように,ガタッとレールごと外れたのである。

図62 レールとともに引戸を敷居の外へ
図63 内側からの右引戸の右戸車付近の膨らみ

 この倉庫口の引戸はかなり湿気でやられている。このままでは,釘もカンナも使えないと考え,タワシでこすったりした。緑藻が生えている。敷居の内外が土間であることにも起因しているようである。乾燥ぎみの冬季でもこれだから,梅雨時はひどいものであろう。通用玄関と正面玄関では下棧と敷居の隙間はほぼ無いに近いスタイルであるが,この倉庫ではそのスタイルから,この改修工事で離脱しようと思った。後にその工夫を示したいと思っている。

 この湿った状態では戸車の交換はできない。できれば一週間ほどは引戸を外して乾燥させたいのであるが,防犯上それもできない。

図64 内側から右引戸のV字隙間
図65 左引戸の^字隙間
図66 さし当たりノンレール

 レールの再設置も戸車の交換も今日はできない。防犯上の理由もあって,とにかく,レールなしで,戸車を外した引戸を元の位置に仮置きするしかない。それが図66である。さて,これを内側から撮影したのが,図64と図65である。

 図64には,右側引戸と右柱の間にV字型の隙間,図65には,左引戸と左柱の間に^字ガタ隙間。これを解消するためには,各引戸それぞれの二つの戸車の固定面に差を設けなければならない。課題である。

Jan. 25, 2021記入

9-2 第二〜第四作業日の日程

 今後の作業プロセスを次に挙げたいが,通用玄関とは違う対処が必要である。一つの引戸に二つの戸車を付けるのには経験上,一日仕事。上棧を削ってしまうと引戸は引っかかりがなくて,倒れてしまう。レールを付けると上棧を削るのが前提。第二作業日には,レール設置+両引戸の上棧削り,第三作業日には,右引戸の戸車設置,第四作業日には,左引戸の戸車設置,となる。

  1. 第二作業日: レール設置に1時間。このあと防犯上,最低でも両引戸の上棧を削り込む必要がある。その時間は3時間ほどか。それゆえ,最低4時間だから,日没5時半として,作業は遅くとも,午後1時開始だから,自宅出発11時半の必要がある。僕としてはかなり早い始動時刻。
  2. まずはレール設置。真鍮レールはすでにマイペット水拭き,5-56吹きかけ,拭き取りを終了して倉庫に保管している。花崗岩の敷石もマイペット水拭きは終わっている。真鍮レールの穴に残った釘除去をしなければならない。工法は通用玄関のものと同じである。釘は,まずは,正面玄関同様,ベニア止め25mm長ネジを打ち込んでみる。駄目な場合,真鍮製のSPフロア釘を15mm長に切って使用する。
  3. 次に,上棧の削り込み。ジャッキアップで外せないほど鴨居ギリギリなので,首と肩それぞれ4mm削っても問題がない。で,以下に述べるが,通用玄関とは違って,戸車の設置点を2mmずつ削り込むことはしないので4mm削っても鴨居に入らない可能性が高い。まずは,右引戸だけ,上棧の戸首と肩を,4+1=5mm削って,もちろん戸車装着なしで,レールに載せてみよう。入らなければ,さらに1mmずつ削ることになる。レールを動かすほどギリギリに入るようならば,さらに1mm削る必要がある。そして,左引戸も同様のことをして,当日は完了である。補助鍵も設置して鍵掛けだが,2mmほど高くなるので,鍵掛けができないかも知れない。まあ,仕方がない。上棧の削り方は次のページで。
  1. 第三作業日: 右引戸の戸車を設置する。図63のように,内側から見て,右側の戸車の付近がかなり風化している。戸車周辺の板が大きく外側に膨れている。削る訳にも行かないので,そのままにする。図63では下棧の溝が黒く変色している。カビかもしれない。布で強く拭き,釘も入らないようであればノミで軽く削り落とすしか無いであろう。アルミフォイルによる補強も考えられる。通用玄関とは違って,湿気回避の一つの手段として,引戸とレールの間によりスペースを取りたいと思う。図64のように右引戸と右柱の間のV字隙間を解消すべく,右戸車については木ねじ設置面を2mm削り込むことにする。できれば1mmぐらいに押さえたいがV字隙間の解消ができない。湿気排除のためにもV字よりもまだ^字ぎみの方が良いと思う。左戸車の木ねじ設置面は一切削り込まない。補助鍵を設置して,この日は終了である。

     追記 Jan. 28, 2021: 通用玄関と同様,鋳物戸車の旧タイプから新タイプへの交換であり,図30が適用される。実際の作業過程で適切な形を取りたいと思う。新タイプは,i=3mmだから,戸車設置の後,下棧底部からエプロンが1mm高だけ出たままだと,下棧底部から2mm奥がローラー下端になる。内側から右の引戸ではその右側を左側より低くしたいので,エプロンの下棧から出ている高さは,右で1mmだと,左で2mmになる。この形を理想とする。つまり左では釘付け部の彫り込み一切しないのである。この組み合わせで,右引戸を倉庫口のフレームに入らない場合は,戸車のエプロンの出を,右0mm,左1mmとする。さて,どうなるか?
  2. 第四作業日: 左引戸の戸車を設置する。図65のように^字の隙間がある。この隙間は小さいので,内側から向かって右側,つまり左柱から遠い方の戸車を木ねじ設置面を1mmだけ削り込む。左引戸の内側から見て左側,つまり左柱に近い方には削り込みをしないで戸車を設置すること。

 以上で,倉庫口の修復は終了するはずである。

Jan. 26, 2021記

9-3 第二作業日の実際

 Jan. 27, 2021にはタニハに13時10分前に到着,17時35分には所定の作業を終了することができた。レール交換は1時間弱,引き戸上桟の削りこみはそれぞれ2時間弱で実施することができた。上棧の削り込みは5mmで十分であった。完了後の鍵掛けも問題がなかった。

 次の図67は設置後のようすである。25mm長のベニア止め用のステンレス釘(上段中央)を打ち込むことができた。外からみて,上段左に左端の,上段右に右端の様子を示している。

 図67 倉庫口のレール設置

 図68は正面玄関での作業の様子である。ガラス戸に鍵関係の出っ張りがあり,床を傷つけないように(過去の反省から),座布団を敷いている。図69は内側から見て右引戸の上棧肩の削り込みが終わったところ。図70では上棧戸首の竪棧をノコで切り取ったあとで,これから平カンナで横棧を削る。

図68 引き戸作業の準備
図69 肩の削りこみ
図70 戸首の竪桟のノコ切り

 図71には両引戸の上棧を削った後に,レールに載せた結果の鴨居付近のようすを示す。左は内側からみて右引戸,中央と右は左引戸のそれぞれ右手と左手の様子である。削る前は全く隙間が無かったがかなり余裕ができた。特に,中央と右の写真では引戸が外れるのではと思わせる。ただ,今後,戸車を設置するので,問題はない。

図71 引戸と鴨居
 図72 引戸と敷居レールの関係

 図72を見ると,8mm角の真鍮レールが,引戸に切られた溝に完全に填まっている。これまでこの事実を知らなかった。この情報を踏まえて,戸車設置過程について,次の第三作業日の前に,再確認し,上掲の第三作業日の工程に追加したい。

 以上,Jan. 28, 2021記

9-4 第三作業+第四作業の実際

 昨晩でこの倉庫口を終了した。

第73 右引戸の右の戸車交換
第74 右引戸の左の戸車交換

 Jan. 31, 2021 第三作業開始。図73の右引戸の右の戸車部分は,最も風化している場所だ。旧戸車を外して,放置して多少乾燥されたためか,初日作業時とは違い,木質の湿気はほぼなかった。50年の湿気による膨らんだ部分に平鉋で多少,削り込んだ。お金を稼ぐ大工さんだったら,この裾板を全部交換ではないだろうか。釘付け部分は弱くなっている。釘も残っていた。図74の左の戸車付近では竪棧と裾板の間が外れていて,出ている部分を平鉋で削った。図73と74を比較するとわかるが,左の戸車は右の戸車よりも釘付け部分を深く削り,填め込んでいる。

 前述のように,溝底と下棧底との距離は8mmである。右と左の戸車のローラー底はそれぞれ,4mm,3mmにした。左戸車のエプロンは下棧底より1mmほど出ている。幸い,この右の引戸は倉庫口枠に入れることができた。そして,図75のように,右引戸と右柱のV字の隙間は消失した。上棧と鴨居の関係を示したのが図76,77である。何とか引っかかっている。さらに鴨居が沈んでも,もう引戸が外せなくなることは無いだろう。

 なお,図73のように,右引戸の通気性をよくすべく,下棧底を平カンナで多少,削り込んだ。

図75 内側から右の引戸と右柱
図76 左から右引戸の鴨居を見る
図77 右から右引戸の鴨居を見る

 次の図78〜80は,左引戸の戸車である。 当初,左引戸のエプロンを2mm出したが,レールをクリアしないと考え,更に削り込んでしまった。その結果が図79であり,図81に見られるように,左引戸と左柱の^字隙間が改善されなかった。そこで,図80のように,アルミ箔を釘付け部分に挟んでエプロンを1mmほど出した。その結果が図81である。

図78 左引戸の右戸車
図79 左引戸の左戸車1
図80 左引戸の左戸車2
図81 左引戸と左柱の接触部1
図82 同接触部2

 図81と図82の間には,隙間の解消に向かう改善が見えない。更に左引戸左戸車の釘付け部のアルミ箔を厚くすればいいのだが,疲れてしまって,これで良しとした。倉庫だしね。簡易鍵はより入りやすくなった。鍵の劣化が進んでいるので,同製品の改善版が販売されているので,ヨドバシに注文中。

おわりに

 1月末で何とか,正面玄関,通用玄関,そして倉庫口の引戸はスルスルと動くようになった。何十年と動きにくかった状況が改善できた。引戸の汚れを落とせば完了であるが,これはまだやる気がしない。このWebページを書き始めたのは,12月17日になっている。この作業になんと1ヶ月半を要したのである。退職後の「大きな」成果の一つになった? やばいよ,と思いつつ,この部分のストレスは解消した。タニハの玄関から入るたびに,倉庫を開けるたびに,ストレスを感じてきた。

 次は,さしあたり,既存の大工ツールなどを処分して,ツール棚を整理する,玄関口の廊下のものを片付ける,てなことが次の課題ですなあ。徳之島調査の準備もさらに進めないと。本日,スーチーさんが軍のクーデターで拘束されたらしい。スーチーさんのこれまでのストレスは凄いのでしょうなあ。ロヒンギャ虐殺,虐待を認めて,西欧世界に阿るよりも,自国民優先,これは当然のことだなあ。

Feb. 1, 2021