地下鉄御堂筋線千里中央駅から萱野南駅への延伸の遅れ期間の嘘と膨れあがった費用の謎 cheating the delay period and the strange expense for the extension of the Subway Midosuji Line from Senri-Chuo Station to Kayano Minami Station

1. 北大阪線北伸の餌に掛かる

 大阪府知事橋下さんが2010年2月に箕面市にやってきて箕面市議など関係者を前に演説をした。その演説に応えるべく,箕面市議会は,大阪国際空港の廃止を受け入れた。地下鉄御堂筋線(北大阪急行)延伸を受け入れて貰うために。
 箕面市の広報資料がネット上,(報道資料)「関西における空港の在り方と都市将来像について(決議)」について,にあり,その一部を次に転載する。

経過:―大阪府知事と箕面市議会との意見交換―

 箕面市議会は、今年2月22日(月曜日)にメイプルホールにて橋下知事と「空港問題に関する意見交換会」を実施しました。意見交換会は、一般市民、報道関係者など約470人の参加の下、箕面市議会議員(24人)と橋下知事が2時間余りにわたり、「空港問題と都市の将来像」をテーマに課題や将来展望など幅広く議論が行われました。

決議の概要:

  • 地域の交通手段としての空港利便性という小異を捨て、「関西圏・大阪圏全体の大きな活性化」という大同につき議論する。
  • 国及び大阪府に対して、「関西圏・大阪圏全体の大きな活性化」という観点から各空港の将来像を早期に決することを求める。
  • 各空港の将来像を決するうえで、次の三点の履行を求める。

1.関西国際空港を国際・国内一体のハブ拠点化するとともに、中長期的には大阪国際空港(伊丹空港)を廃港し、関西圏・大阪圏全体に活性化をもたらす未来のまちづくりを志向すること。
2.関西国際空港のハブ化にあたっては、高速鉄道網をはじめ北大阪地域から関西国際空港へのアクセス改善を、国及び大阪府の責任において実施すること。
3.大阪国際空港(伊丹空港)については、当分の間、近距離国際便(アジアシャトル便等)を導入するなど、フル活用を図ること。

図1 北大阪急行線南北線延伸線の路線図
(北大阪急行線延伸事業パンフレット「北摂くらす」)

 意味の無い文言が並ぶが,要するに,新御堂筋線の北伸の実現を期待するということである。橋下さnの餌に,もちろん,喜んで,掛かったのである。大阪空港なんて,箕面市とは実際関係ない。しかし,この延伸って誰が考えたのだろうか。徒歩でも簡単に移動できる距離をバスで問題無いのに,なんで地下鉄延伸なのか。税金の無駄遣いの最たるものの一つではないか。地下鉄御堂筋線のターミナル千里中央の再開発も長く掛かっている。街の魅力もなく,完成した部分もお粗末で,再開発で集客能力が増したようにも思えない。2本の高層マンションを作って,単なる住宅開発が進んでいるだけの印象だ。都市計画としては無能の極みだ。

 さらに延伸してどうなるのだろう。すぐに箕面山地にぶつかる。まあ,箕面グリーンロードと称してトンネルが箕面山地を突き抜けたが,突き抜けてもそこはトドロミで,農林村域だ。このトドロミに大阪府のキャンプ場ができたのだけど,ペイする利用客は居るのだろうか。単なる地域へのご褒美で,大阪府の重荷になってゆくのではないか。第二名神ができて,インターチェンジができた。まさか,このトンネルの地下に,地下鉄延伸を想定した空間が用意されているのだろうか。

2. 開通延期期間のごまかし

 開通は,たしか,2020年4月1日の筈であった。ぼくの退職日の翌日にあたる。
(報道資料)北大阪急行電鉄南北線延伸線(千里中央駅から箕面萱野駅)を「2023年度末(令和5年度末)に開業」します は,具体的な内容をもつ現在最新の記事であろう。先日,箕面市役所に行ったら,玄関ホールには,3月末日開通のカウントダウンの電光掲示板があった。趣味の悪い維新的な広報ドラマが大画面で流されている。

 この報道資料には市長の挨拶がある。
2019年(令和元年)5月7日 開業目標を2020年度から2023年度に見直し
とある。当時,3年延長と流布されていて,箕面市民は3年の延長かと受け取ったのである。

 何故,延期されたのか。その理由は,地下を掘ってみたら,センリニュータウン開発時の建設資材のゴミが残っていたという。その片付けに3年かかるという。ぼくは,この情報を自ら確かめた訳ではないが,周辺の人達はそう言っていた。そんなんで3年もかかるのお? おかしいやないか。(ある市民に聞いたことで,後述するが,この話はでたらめだった)
 見直しの話が出てから,ヴィソラ敷地内にある萱野南駅になる筈の場所で,新たに建設されていた鉄道を支える太い鉄筋コンクリートの柱が長い時間をかけて破壊されて行った。ぼく自身が,怪訝な気持ちで,連日観察したことである。設計ミスに由来するのか,地下ゴミのためではないだろう。本当の理由は藪の中だけど,責任を取ったものは居ないようだ。三年間の延長で,もちろん,何らかの工事をしているようで,遊び資産分,借り資金の金利も膨らんでいるだろう。不思議な世界だ。見直しを読んでも,何の反省も感じられない。すごい世界だと思う。箕面市長は自分の頭で考えたものなのだろうか。おそらく,箕面市議会で問題が議論されていたのだろうけど,そういう情報に触れていない。ぼくの無関心から来るものであるが。

3. 杜撰極まりない都市計画と土木設計

 箕面市の広報どおり,3年延長とぼくは考えていた。この1月だったか,ターミナル箕面萱野南駅の出入り口に大きな看板が出ていて,2023年度末(どうも来年の3月末)に開通とあった。非常に驚いてイオンの受付に聞きに行った。2023年度末って,これでは4年延長じゃないかと。不誠実な表現だと。イオンの新装開店は開通に合わせるためであったはずだ,という確認を迫ったが,それも回答してくれない。まあ,この場の人が応えられる訳は無い。
 そこの女性事務員に,御本人の理解を確かめたが,応えてくれない。へんなおっさんやと雰囲気もあったので,それまではよくそちらで買い物もしたが,会話の成り立たない場が嫌になって,もう行っていない。要するに,2020年4月1日開通の予定が2024年3月末になったのだから,3年度の延長だということらしいのである。サギだよー。「責任者出てこーい」,という漫才があったなあ。

 北大阪急行線延伸事業の開業目標を見直しました という箕面市の広報であるが,「本事業は、2016年度より用地買収及び工事に着手し、事業を進めて参りましたが、今般、設計及び工事工程の見直しなどが必要(図2)となったことから、開業目標は2020年度から2023年度となる見通しとなりました」,とあり,

開業目標を、2020年度から2023年度に変更します。(3年延期)
総事業費(650億円)に変更はありません。

総事業費が変わらない,って,変じゃない? 2020年4月1日から現在まで,ずっと工事してるのにー。
 図2を観察すると,延伸理由の3点の何れもが,驚くべく杜撰な計画そして設計であったことがわかる。いずれも責任者が辞職すべき事件である。なお,図2では地図の3要素のすべてが脱落している。とにかく,最低,方位が必要なので,およその方位を緑の矢印で示した。方位が無いので,理解できなかったが,方位を付けることで,図2の情報がやっと頭に入るようになった。

 A図はルート図とインデックス図を兼ねている。ここには緑地枠内に,用地買収がかなりの困難に遭遇し,強制的な土地収用があったことが示されている。この計画は前掲の広報の市長の言のように,「『北大阪急行線の延伸』は、今から約55年前の1968年(昭和43年)に策定された最初の箕面市総合計画にその構想が書き起こされてから、半世紀にもわたり、市民誰もが待ち望んできた念願であります。」橋下のお陰?で,2015年にこの案が具体化に動きだしたとしても,箕面市は土地確保のために,早くから動く必要があった。箕面市の責任だ。

 B図とC図は,設計者が愚昧であった証拠だ。B図については,地下鉄の終端は地下水や土砂の急激な流入を防ぐために,設置されるべきダムである。C図については,都心から続く自動車専用道路の陸橋部分であり,道路の下部には強固な橋桁が設置されているのは当然である。わざわざ?,国道423号線の自動車専用道路に接触する形で地下鉄ルートを設置したこと自体,奇妙奇天烈といわざるを得ない。これも,あんぽんたんの設計者であっても,そしてチェックする能力が箕面市や北大阪急行に無くても,国民の税金で賄われる大工事が,何らかのまともなチェック機関を経るべきなのは当然である。箕面市には人材がいない。北大阪急行には人材が居ないにしても,大阪府や国のチェックは無かったのだろうか。決定を下したのは国ではないか。信じられない。箕面市というより,日本の国そのものの程度が低いといわざるを得ない。

図2 延期理由

 

4. おわりに

 このページを作成する当初は,工期が4年追加されたのに,年度で3年,という表現での詐欺行為を強調したかったのであるが,4年の追加工事に至った理由を知って,愕然とした。マスコミは行政の単なるスポークスマンになっていて,何ら問題にしなかったようだ。箕面市議会では何が議論されたのかは知らないが,4年の追加的の工事に係わる費用は膨大の筈なのに,費用は変わらない,と箕面市は言っている。それでは誰が負担したのだろう。これは議会で追及すべき問題であると思う。議会そのものの責任も重大だ。
 図2の特にC図の障害物の追加的工事は,2020年4月1日開通の見積額と比べて,かなりの増額になった筈だ。自動車専用道路の橋桁をただ削り込んで地下鉄のチューブを作る訳には行かず,削りつつ,並行して補強する工事も必要で,当初の見積額の2倍とは言わないが,1.5倍ぐらいにはなったのではないか。土地収用の費用も膨らんでいる筈だ。当初予算と変更無し,これはあり得ない。
 箕面市に住む無力な一老人として,素朴な疑問をここにつぶやいたところである。

以上,Nov.26, 27, 2023記。